本当のキモチ
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私は自分の意志で青学からの転校を決めた
過去の自分を取り戻すために・・・
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私には幼い頃の記憶がない
気付いたときには私には両親がいなくて・・・
両親の古い友人だという“不二家”でお世話になっていた
そして不二家の長男・不二周助と同じ小学校に通っていた
友達に過去のことを聞かれても何も答えなかった
・・・ううん、違う。
何も答えられなかった
だって―――何も覚えてないんだから
自分の名前どころか・・・
年齢、家族、友達のこと、今までの自分自身を覚えていなかった
そんな転校生だったのにいじめられなかったのは・・・
『***は僕のいとこなんだ。もし手を出したりしたら・・・保証しないから<ニコ>』
周助の悪魔・・・いや、天使の微笑みが理由だろう
不二家で生活を始めてどうして名前が“不二***”なのか・・・
両親はどこにいるのか?
今までどこで住んでいたのか?
疑問は沸き上がるものの―――答えは出ない
子ども心に疑問を口にしてはいけない気がして・・・何も聞けなかった
ママは優しいし、パパも私を他の子達と同じように叱ったり褒めたり・・・
由美姉さんも妹みたいに可愛がってくれるし、周助や裕太とはホントの兄弟みたいに喧嘩したり・・・
こんなに居心地のいい大好きな家族が私にはいるんだから忘れてることをわざわざ思い出さなくても・・・
そう思って私の中で“蓋”をした