Prince of Tennis
□とまどいの姫君
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私の好きな人は―――人気者
同じクラスになったことない私のことなんて、彼はきっと知らない
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1年の秋・・・
保健委員である私は先生に頼まれて資料作成を手伝っていた
「***さん!すごく助かったわ。ありがとう」
「他は大丈夫ですか?」
「・・・職員室に持っていくから15分ほど留守番お願いできる?」
「はい」
特に用もない帰宅部の私は軽い気持ちで留守番を引き受けた
保健室内をウロウロしているとガラリと扉の開く音が聞こえて
「先生!早かったですね」
思わず声をかけた私
でもカーテンの向こうから顔を出したのは先生ではなかった
「クス・・・幸村精市です」
彼は1年生ながらテニス部のエース候補、加えてルックス抜群、優しい性格ときたもんだ・・・
(モテないわけがない)
「保健委員の***です。留守番頼まれてて・・・」
ふと幸村くんの膝に視線を向けると出血していることに気付いた
彼を椅子に座らせて消毒液とバンドエイドをとりにいった
「手際いいね・・・」
「生傷たえない友人がいるので慣れです」
「***さんは優しいね」
単純な私はこの笑顔に一目惚れしてしまったのだ