青い薔薇〈第一章〉
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男子寮に来てみたものの足が向いた理由が自分でもわからなかった
零と話したいことはたくさんあるはずなのに―――
言葉はうまく出てこない
(私ってば、口下手!?)
「オイ、玖龍皐月!男子寮に女子は禁止だぞ」
「ご、ごめんなさい!!」
(ひぇぇぇぇ、見付かった)
勢いよく頭を下げる私を笑い飛ばしたのは
「藍堂・・・先輩・・・?」
夜間部の皆さんは男子寮どころか
陽の寮自体に出入が禁止されてるはずなのに・・・
「どうしてこちらに・・・?」
理事長さんに急用かな?と思う私にとんでもない答えが返ってきた
「今、家出中なんだ!」
「ハッ!??」
私、疲れてるのかな?
藍堂先輩から家出したって言葉が聞こえた気がしたけど―――
私の思考を読み取ったのか
「聞き間違いじゃない!寮に・・・いたくないんだ」
そこにいるのはどこか元気のない藍堂先輩で・・・
何か―――あったのかな?
そう思わせるには十分だった