青い薔薇〈第一章〉
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(君は絶対に、失うわけにはいかない―――)
今にも飛び出してしまいそうな優姫を眠らせて旧宿舎を後にしようと抱き上げて外に向かう途中
「皐月!!」
彼女を見つけてしまった
驚く彼女は少し寂しそうな表情を見せた気がする・・・
優姫の記憶を消すこと?
それは姉さんや父様や母様のためでもあるんだ
「こんな時間に出歩いて・・・なにしに来たの?」
姉さんがここにいる理由なんて聞かずともわかっている
それでも、信じたくはない・・・
姉さんが錐生零のことを大切に想って行動するなんて
僕はずっと―――
優姫を見るたび姉さんのことを想ってるんだよ?
「姉さん、出口はこっちじゃなくて向こうだよ?」
僕は出口を指差した
今、錐生零は血に飢えている
このまま行かせたら姉さんは確実に自分の血を・・・