青い薔薇〈第一章〉

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「よし、味付けバッチリ!」


みんなの帰りを待っている時間は永遠に思えた
(あの日を、思い出す・・・)
じっとしていられない私はみんなのご飯を作っていた
ほんの少しだけ気が紛れたかな?


《ガチャ》


扉の開く音とともに帰ってきた3人
“おかえりなさい!”と駆け寄ってみたものの表情は浮かない
あまりいい雰囲気ではなさそうだ


「ありがとう皐月ちゃん〜」


抱きついてきた理事長さんを横目に零や優姫の様子を窺うと・・・
声をあげることなく2人とも考え込んでいるようだった
それなのに、


「皐月、ご飯ありがとう!さっ、いただきまーす」


元気なんてないはずなのに、明るく振る舞う優姫の姿は・・・
見ているだけで辛かった
お父様とお母様は優姫のこんな表情を見たかったわけじゃないはず―――
ねぇ枢、優姫は自分の記憶を取り戻そうとしてるよ?
私は―――
これからどうすればいいのかな?
4人の食卓は心と違ってとても明るいもので・・・
その空気を作ってくれる優姫にさらに胸が痛くなった

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