青い薔薇〈第一章〉
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いくらバッグは零が持ってくれて私自身、手ぶらだとはいえ
長旅で疲れ切った足が彼の早足についていけない
「ぜーろー!歩くの早いよー。もう歩けない・・・ぶっ!!」
急に立ち止まった零の背中にぶつかってしまった
振り向いた零にコツンと頭をこつかれたかと思うと・・・
力いっぱい抱き締められた
「皐月!!!」
愛しそうに私の名前を呼ぶ零
内心複雑な感情を抱きながらも嬉しくて感情のまま背中に手を回した
「零・・・ただいま」
あのとき“ずっと一緒にいる”って言った私の気持ちにウソはない
そういう意味を込めて言った言葉はあなたに伝わる?
「皐月・・・おかえり」
まさか零からそんな言葉をもらえるなんて思ってなくて・・・
涙が止まらなくなった
私の頭を優しくなでる零は昔の笑顔のままだった・・・
「相変わらず泣き虫だな」
「う、うるさい!・・・夜刈さんが生存報告しろって言ってたよ」
「あぁ、」
お互いの近況報告に夢中になって
一部始終、少し離れた位置から見られてることに気付けなかった