青い薔薇〈第一章〉
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空が青くても
太陽の光が優しくても
月の寮は静かだ
彼等はまだ眠りの時間
だって夜間部は全員がヴァンパイアなのだから・・・
「皐月さん、こんな時間にどうしたの?月の寮に何か・・・?」
「拓麻、君?」
夜間部の中で一番ヴァンパイアらしくない副寮長さん
月の寮の入口で座り込んでいた私
「こんなところに座り込んでどうしたの?」
拓麻君ならいい案を教えてもらえるかもしれない!
そう思った私は口を開いた
「・・・誰にも気付かれずに使えるキッチン知らないかな?」
陽の寮のキッチンや家庭科室は人でいっぱいだった
月の寮は各部屋にミニキッチンがあるみたいだけど空き部屋はないし・・・
悩む私に拓麻君はいつもの笑顔
「理事長の私的スペースを借りるといいんじゃないかな?」
「・・・なるほど!ありがとう」
急いで理事長室に向かおうとしたら腕を掴まれて・・・
彼は笑顔で―――
「僕の分もお願いね」
とお願いされてしまった
あ、バレちゃった?
明日は聖ショコラトルデー・・・
私はありがとうの気持ちを届けるためお礼を言って理事長室へと向かった