青い薔薇〈第一章〉
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「線まで下がってください!」
優姫がどんなに注意しても・・・
“風紀委員ばかりズルイわよ”
“ちょっとくらいいいじゃない”
なんて反論が返ってくるのに・・・
「危ないので押し合わず線まで下がってくださーい」
私が注意を促すと“ハーイ”とあっさり線まで下がる彼女達
何が・・・違うの?ま、まさか
私も零みたいな殺気で彼女達にいうことを聞かせてるってこと?
笑顔で注意してるつもりだったんだけど・・・ショックかも
《ギィィィィ》
月の寮の開門と同時に先頭を進む寮長兼クラス長の“玖蘭枢”
まさかこんな形で弟と再会することになるなんて・・・
本当は近寄って抱き締めたい
ずっと優姫を守ってくれてありがとうって伝えたいのに・・・
それは叶わない願いだから
「優姫、ご苦労様。彼女は・・・新しい風紀委員さん?」
「彼女は転校生の玖龍皐月さん。今日から風紀委員です」
(そっか・・・腕章で)
紹介してくれた優姫に感謝だ。話をしたらボロが出そうで・・・
「皐月、よろしく」
(ドキッ)
私に向けられた笑顔で不覚にもときめいてしまった
「よ、よろしくお願いします。玖蘭先輩」
私は自分を保つことに必死で彼が私を“皐月”と呼んだことも“玖蘭先輩”と言われて悲しそうなことにも気付けなかった―――