青い薔薇〈第一章〉
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零は部屋に戻ってないようで・・・思い当たる場所を数ヶ所回っても見つけられなかった
(あっ!!!)
最後に思いついた―――理事長室
零のことを考えながら足を速めた
《バンっ》
勢いよく開けた理事長室に理事長さんは見当たらない
学園内でこの時間に開いてる場所で見てない場所はここだけ・・・
ここに零がいるような気がしてそのまま足を進めた
「零〜!?いる??」
どんどん奥に進むと光がこぼれている扉を見つけた
(・・・お風呂?邪魔だったかな)
遠慮がちに扉を開けると座り込んでいる零を見つけた
髪から水が滴り落ちていてシャツさえも身につけていない
「零!?こんな格好じゃ風邪ひいちゃう!あっ、優姫が・・・金づちで起してこいって言ってたんだよ(クスクス)」
「それは・・・起きててよかった」
私は近くにあったタオルで彼の頭を拭き始めた
いつも通り返ってきた零の言葉に少し安心したものの、シャツのそばに落ちていたものを見て一瞬、手を止めてしまった
(あれは血液錠剤・・・)
私の手が止まったことに気付いた零はシャツを自分で着始めた
「皐月は心配しなくて大丈夫だ」
顔も合わせず呟いた
私はまた・・・何もできないの?
「零・・・「皐月、気をつけて帰れよ」
私の言葉を遮った零はそう言って理事長室を後にした