青い薔薇〈第一章〉

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今のは間違いなくあの人の銃声
理由はわからないけれど―――黒主学園にやってきたんだ・・・
まさか、さっきのは零が!?


「私、行かなきゃ!」


目の前にいる枢を突き放そうにも到底敵うはずもない
でも私は必死だった
万が一あの人が、、


「お願い!あとでなんでも枢の言うこと聞くから・・・」


そう言うと―――枢は力を緩めてくれた


《ダダッ》


私は夜間部を振り返ることもなく銃声がしたほうへと走り出した
(ダメ!夜刈さん!!!)



――――――
――――
――



「枢様、あの小娘は何ですか?」


会話を聞いていたのはいつも近くにいた彼等・・・
枢が彼女にした短い口づけを見ていたのは―――拓麻だけだった


「一条・・・僕は嫉妬で狂ってしまいそうだよ」

「枢・・・」


いつもと違う枢の姿に何も言うことができない彼等


「寮長・・・玖龍皐月は一体何者なんですか?」


みんなが疑問に思っていたこと
架院が聞いてくるとは思ってもなかった枢は少しだけ驚いた
それでも平静を装って―――


「彼女は僕の大切な人だから・・・手出ししたら、わかってるね?」


夜間部に忠告をした枢は、誰にも聞こえない声で呟いた
“早く戻っておいで―――”

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