青い薔薇〈第一章〉

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普通科で授業が行われる時間・・・夜間部の生徒達は眠っている
だって僕らは―――吸血鬼
陽が高い今、月の寮は静か


「た、たたた大変だぁぁぁ」


・・・な、はずだった
寮内を叫びながら走り回っているのは副寮長、一条拓麻
唯一、純血種の僕を“枢”と呼んでくれる彼
彼も―――
姉さんが好きらしい
その部分はちょっと、いやかなり気に食わないけれど・・・
彼のサポートには頭が下がる
口に出すことはないだろうけど


《バンッ》


「か、かかか枢!!」


(はぁ・・・)
僕は大きなため息をついた
一条のこの慌てよう―――
理由は・・・大体わかっている
“彼”が・・・僕を監視しに来るんだろう?
元老院に知られていない優姫は問題ないだろう
吸血鬼因子を眠らせて記憶もないのだから・・・
ただ、姉さんは―――
いくら人間だと言えど顔を見ればすぐにわかってしまう
幼い頃の面影を残しながらも、美しく成長した女性
死んだとされている“玖蘭皐月”が生きているのだと
(黒主理事長に忠告を入れてもらおう・・・)

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