青い薔薇〈第一章〉
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皐月は考え事をしながら去っていったせいか俺の気配にも気付かなかった
普段通りなら気付くはず・・・
「零・・・聞いてたんだろ?」
「師匠・・・」
「皐月は・・・4年前からずっと緋桜閑のことを捜していた」
師匠は皐月の後ろ姿を見たまま会話を続けていた
(あの日からあの女を?)
一体何のために・・・
「ずっと理由は教えてくれないんだが・・・零、お前が関係してることだけは確かだ」
俺の―――ために・・・?
何かしようとしてるのか?
「零・・・アイツはムチャしかしない。・・・守ってやってほしい」
いつになく真剣な師匠の声
きっと師匠にとっても皐月はかけがえのない存在・・・
「わかってる」
迷いなく返事をした俺の頭を師匠はくしゃっと撫でた
まるで昔みたいに・・・
“お前なら安心だ”と去った師匠の後ろ姿を俺はいつまでも見つめていた
皐月は俺が守る・・・
もちろん優姫のことだって―――