青い薔薇〈第二章〉

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ヴァンパイアとして覚醒し記憶を取り戻した皐月は―――
血に飢えているはずなのに・・・
僕に牙を向けることはなかった
(僕じゃ―――満足できない?)
李土に自身を捧げようとしていることは容易に想像できるからなんとしても僕のそばに置いておきたかったのに、いとも簡単に断られて・・・
僕の腕に戻ってくるから―――と
そんなことを言われたら何も言えなくなる
昔から僕は皐月に弱いから・・・
彼女にお願いされれば首を上下に動かすしかない
でも、
今回のお願いは・・・
全部をきいてあげる気はないよ?
廊下に出てしばらくその場でじっとしていると―――
皐月の弱く悲しい声が聞こえてきた

“っ!!ごめん、ね”

その謝罪に含まれる意味は?
さっきした僕との約束は守れないということ?
どうして皐月はわかってくれないのだろう―――
こんなにも皐月を必要とする僕のことを・・・


「―――そんなことは、絶対にさせないよ」


僕は握り拳を作ってこの胸に強く誓った

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