青い薔薇〈第二章〉
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私達三人は車から降りて地下道を進んでいた
それぞれに考え事をしているのか、会話はなかった―――
吸血鬼に戻った今も運動神経が乏しいことに変わりない私は二人に着いていくことに精一杯で何も話さなかっただけだけれど
私の手は枢にずっと握られていて、離そうかとちょうど思うたびに枢の手に力が加わって・・・
(枢ってばもしやエスパー?)
絡まれた指が離されることは一度もなかった
「・・・歩き疲れた?」
枢の言葉は優姫か私、どちらに向けられているのか・・・
何も答えないでいると
「私そんなにヤワじゃないです。じっとしてる方が辛かった・・・」
優姫が口を開いた
どうして同じ親から生まれた姉妹でこうも違うものか・・・
私はヴァンパイアとしても出来損ないかな?
二人にバレないようにため息をついていると
「きゃっ!!!」
私の体は宙に舞った
「お、お兄様?」
驚く優姫と私に・・・
「限界だろう?体力ないのにこんな道でごめんね」
私に向けられる眼差しに―――
胸がドキンと踊りだした
そのことが枢に気付かれないように私は彼に抱き抱えられたまま静かに瞳を閉じた・・・