青い薔薇〈第二章〉

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歩き始めにはあった会話も道が険しくなる度に減っていた
姉さんは最初から口を開くことはなかったけれど・・・
何度も僕から離そうとする姉さんの手をしっかりと握り直した
少し俯く彼女の首元には・・・錐生零の咬み後がわずかに残っていた
(錐生零が羨ましいよ・・・)
姉さんが僕を握る手に段々と力を込めていることに気付いて僕は驚く彼女を抱き上げた
腕の中で瞳を閉じている姉さんは一体、何を考えてるの?

そして彼と繋がっていない―――
と言う姉さんに
白い首元を曝け出されて・・・
僕は勢いよく咬みつきそうになっていた
(なんて表情をするんだ・・・)

でも―――
その血を介して彼への想いなど知りたくもない・・・
姉さんを吸血鬼に戻す時に綴った血は確かに錐生君を想う味だった
記憶が戻った今、どんな想いを抱いてるのか・・・
僕は人間の恋人達が愛を確かめる方法―――
彼女の唇に唇をそっと重ねた
君が僕のことでいっぱいになる日を夢見て・・・
僕は今、ここに姉さんがいてくれることが嬉しいよ
ただそのことだけで・・・とても優しい気持ちになれる
僕はもう一度・・・姉さんにキスをした

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