青い薔薇〈第二章〉
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「もうすぐ・・・1年か」
優姫は窓の外を見上げて何か考えているようだった。
あの日から1年―――
“まだ”なのか“もう”なのか私の中に答えは見つからないまま
(優姫は何を考えてるの?)
《コンコン》
ノックと共に顔を出したのは
「藍堂先輩・・・優姫の家庭教師の時間ですか?」
そう尋ねれば彼はため息をついて
「皐月様、そろそろ先輩はやめてください。父にも怒られます」
「―――藍堂先輩が“皐月様”って呼ぶのをやめたら考えます」
いつも通り一歩も引かない私に藍堂先輩は遠い目をしていた
「も〜お姉様、藍堂先輩が困ってますよ」
そう言って笑う優姫だって藍堂“先輩”って呼んでるのに・・・
“じゃ2人とも勉強頑張ってね”
そう言って藍堂先輩が入ってきた扉を開けようとすると
《キィィィィ》
先に扉が開いて―――
「あっ、・・・おかえりなさい」
目の前には枢が立っていた
「おにいさま」
「枢様!」
藍堂先輩と優姫の重なる声
私がそっと部屋を出ようとすると
《グイッ》
私の腕は掴まれて―――
「きゃっ!」
バランスを崩した私はそのまま枢の腕の中に収まった