青い薔薇〈第二章〉
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驚いた顔を彼に向けると
「か、枢・・・?」
「少しだけここで待ってて・・・」
優しい顔して私の耳元で囁く枢に私は囚われそうになる―――
でも最近はさらに強く思う・・・
彼の隣にいるべきなのは私じゃない
優姫や藍堂先輩がいる場所へと足を進めた枢の後ろ姿を私は見つめていた
藍堂先輩の親しみを込めた声
それから聞こえてくるのは優姫の明るく楽しい声
「おにいさま、今日戻られる予定だったんですか?」
「すぐ出るんだけど様子が知りたくてね。家庭教師さん、優姫はどうかな?」
この2人がこれからの玖蘭を支えていくべきなんだ・・・
2人の姿を見ていると私は不要だと言われてるようで
「っっ!!!」
「あっ、皐月様!枢様がこちらでお待ちするようにと」
私は藍堂先輩のお父様が呼び止めるのも聞かず部屋の前から走り去った
――――――
――――
――
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一人なんだと思うと、無性に誰かに縋りつきたくなる
私は・・・
「拓、麻―――」
いつも私を優しく包んでくれる彼を思い出していた