青い薔薇〈第二章〉
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「優姫・・・我慢しなくていいんだよ?」
目覚めたばかりの優姫は―――
まだ混乱しているようで・・・
「あっ―――か、なめ・・・先輩・・・わ、たし・・・」
僕にすがりつくだけの彼女
「ごめん、おぞましい血の呪縛に君を引き戻してしまった」
今、君が求めているものをあげるから・・・
僕は首元を彼女の前に晒した
そうすれば彼女は―――
《ブツリ》
僕の首元に牙を向ける
「そう、・・・ちゃんと・・・。」
本当に吸血鬼に戻ったんだね
もう泣かない、で?
「思い出し、ました。お姉様は私に“蓋”をした。お母様もお父様も強い方だったのに―――」
自分自身を抱きしめて震える彼女を僕はそっと抱き締めた
「優姫、自分の存在を・・・三人の想いを否定しないで?」
この十年・・・
両親や姉さんに代わって僕は全てを忘れた優姫を見てきた
「おにい、さ・・・ま、」
「優姫はここにいて。すぐに戻るから、」
扉に手をかけようとした僕に・・・
「皐月お姉様は・・・私のせいで人間になって―――」
聞こえてきたのは優姫の悲しい声
優姫、君が気にする必要はない
「優姫の目覚めと共に、ちゃんと戻ってくるから、大丈夫だよ?」
不安気な彼女の頭を僕は優しく撫でた
“・・・はい”優姫の返事を背に再び扉に手を掛けた