青い薔薇〈第二章〉

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わずかに残る体力を振り絞って零が閉じ込められている牢に向かっていた
驚く零に―――


「壱・・・縷?」


彼の前に落ちていた血薔薇の銃に手をかけて


《ドンっ》


銃を撃ち放った―――
子どもの頃から俺が望むことはなんでも叶えてくれた優しい双子の兄


「零、意識とばさないでちゃんと俺を見なよ。おとなしくこんな牢に繋がれて・・・」


逃げるなんて許さない
俺の分までちゃんと生きてくれるよね?
息も途絶え途絶えに零が聞くのは


「・・・壱縷、そんな深手を負った理由は?」


また人の心配―――
わかってる?今、血薔薇の銃で撃たれたのは零なんだよ?
俺は・・・


「・・・閑様の望みを叶えようとしただけ。俺の目的は玖蘭李土だから」


それに―――


「皐月のことも狙ってるみたいだし・・・」


でも結局は何もできなくて、


「傷一つ残せなかった。皐月に、ごめんって言っておいてよ」

「・・・じ、自分で・・・言え」


だめだ―――
言いたいことは他にもたくさんあるはずなのに


「あぁ・・・言うことあった、はずなんだけど・・・」


俺は零に身体を任せてゆっくりと瞳を閉じた
すごく落ち着く―――


「今では違う“いきもの”に成り果てたけど、ここが落ち着くのって・・・元は一つだった証かな」


だからさ、零?


「俺の最期の命、喰ってよ・・・」


また最初に、戻ろうよ―――


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