青い薔薇〈第二章〉
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理事長さんと“行く”“行かない”の押し問答をしていると・・・
「いつまでやるつもりだ?」
扉にもたれかかって呆れ返る夜刈さんに声をかけられた
(い、いつの間に!?)
「・・・彼女をどうしてもここに閉じ込めておきたくてね」
そう言って私を抱き締める腕にさらに力を込める理事長さん
大きなため息を一つ吐いて
「時間をかけて人間社会の偉い人達に怖いだけの吸血鬼ばかりじゃないと、示したかった・・・」
静かに話す理事長さんの言葉は
“裏取引で知性や技術を借りるだけじゃなく、ちゃんと心を通わせる事のできる相手なんだと・・・”
―――私の胸を締め付ける
理事長さんに抱き締められたまま瞳に涙をためることしかできなかった
「残念だったな、最終目的に辿りつけなくて・・・」
もう、この学園は―――
平和な場所じゃないんだね
(ごめん・・・なさい・・・)
「“善悪関係なく吸血鬼を殺しても罪にならない”っていう暗黙のルール、いつか無くしたい」
“諦めたくはないよ・・・”
そう呟きながら理事長さんは私の瞳にたまった涙を指でぬぐって
「今、僕がやるべきことは・・・」
少し微笑んでいた