青い薔薇〈第二章〉
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ずっと真っ黒な場所にいた
聞こえてくるのは―――
“千里、母を不安にさせたくなければ・・・”
“穏やかに―――人形のように生きろ”
誰かの低い声・・・
俺はずっと人形のように生きていればいいんだ
それが母さんのため―――
そんな俺に聞こえてきたのは、
「千里先輩、ダメ!!伯父様の好きになんて・・・させないで!!」
皐月の叫び声―――
俺は・・・
人形じゃなくていいの?
自分の意志を持っていいの?
――――――
――――
――
―
俺はもう、
“大丈夫だから―――”
だから一条さんは自分の行くべき場所へ・・・
一条さんが部屋から出た後、窓から吸血鬼が入ってきた
「・・・なに?」
「私は無事を確かめにきただけですから。李土様の人形の―――」
そう、俺は人形だったんだ・・・
でもそれはもう過去の話で
「大丈夫だよ、人形は自分の意思で動くことを覚えたから―――」
俺は自分の掌の握り締めた
気付かせてくれた彼女の身に危険が迫っているのなら助たいと思う
「皐月・・・近付いちゃだめだ、」
あの人は危険すぎる―――