青い薔薇〈第二章〉

□32
1ページ/6ページ

――――――
――――
――



広い広い庭で・・・
膝を抱えて泣いている女の子と
隣で優しい顔をして頭を撫でてくれている男の人
(あの泣いてる子は・・・私?)


「また、泣いているのか?」

「悪い人なんかじゃないのに・・・誰もわかってくれない!!」


男の人は泣きじゃくる女の子を膝に座らせて・・・少しだけ笑っていた
とても優しい顔をして―――


「僕は皐月がここにいるだけでいいから。だからもう泣くな・・・」

「・・・本当、に?」


目に涙をためて顔をあげた女の子の頭を優しく撫でて微笑むのは・・・


「僕は皐月が少し思い出してくれるだけで・・・嬉しいよ、」

「・・・うん!でもいつかみんなでお話できるかな?」


女の子は目をキラキラさせて幸せな未来を夢見て―――


「どうだろう・・・ね」

「大丈夫だよ!私がお手伝いするから、ねっ李土伯父様!!」


彼に満面の笑みを見せていた
(これは私の―――記憶・・・?)
この優しそうな人が李土伯父様
どうして今まで忘れてたの?
李土伯父様もとても優しい人だっていうことを・・・
違う。忘れてたわけじゃない
それなら―――誰が私の記憶を?

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ