年下の男の子
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‐ 幸村精市side ‐
二人でいられることは嬉しい・・・でも前に進まないと
そう思った俺は公衆電話まで走ることにした。
携帯と財布を渡されて***さんはやっぱり年上なんだと感じさせられる
同い年くらいの子には見ることのない行動力や判断力・・・
戻ってこなくていいと言った***さんとの約束は守らない―――
彼女を一人にさせるのは心配だから俺は戻るよ・・・
全速力で公衆電話に向かった。
別荘に電話するとコール音はほぼ鳴ることなく跡部が出た。
心配させてしまったことに良心は傷んだ・・・
そして俺はこっちの状況を簡単に説明して電話を切った。
迎えは30分以内だろう・・・
俺は電話を切ってすぐ再び走りだした。
***さんの元に戻るため・・・
「ホントに戻ってきた」
驚く***さんに微笑んだ。
ねぇ、自惚れていいかな?
戻ってきたときの嬉しそうで安心した笑顔・・・
無意識なのか、遠慮がちに繋いでくれた手―――
今は俺だけのものだよね?
この手を離したくなくてしっかりと握り返した。