本当のキモチ
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遠慮する***を無視して車へ押し込んだ
家に向かう途中“こんな時間に帰れない”と今にも泣き出しそうな***
俺様の家で時間を潰すことにした
偶然できた2人の時間が嬉しかった
そして俺は昔のように“***”と呼んだ・・・
***は“景吾くん”―――と
距離は少し縮まったか?
「着いたぞ・・・」
「あっ、うん」
中庭を眺める***を横から見つめていた
“懐かしい気持ちがする・・・”
その言葉を聞いただけで喜びが込み上げる
記憶はなくとも体が覚えてる?
笑いながらこの場所で遊んでた日々のこと―――
――――――
――――
――
―
今頃は5限目の授業
お昼を食べていないせいで腹が減っていた
おそらく***も・・・
食事を部屋まで持ってくるよう執事に言い付けた
《コンコン》
運ばれてきた食事を見て感嘆の声をあげる***
幼い頃と同じ純粋さに嬉しくなる
椅子にかけるよう促して俺様も正面に座った
(相変わらずうまそうに食うな)
食事の手が止まったかと思うと***は自分のことを話し始めた
「景吾くん・・・私ね、小さい頃の記憶がないの!」
俺様は食べる手を止めて***の話に耳を傾けた
“ビックリしちゃった?”なんて笑っているはずの彼女は今にも泣き出しそうだった
すぐに遠い目をして言葉を続けた
哀しみの瞳―――
「小学校は氷帝だったみたい・・・氷帝に来たら何か思い出すかな?って」
「・・・なくなった記憶を思い出したいのか?」
思い出せば辛い想いしかない
そう伝えてやりたいのにそれはできなくて・・・
「うん・・・景吾くんは私のこと知ってる?知ってること教えてほしい・・・」
まっすぐ俺様を見る***
小さい頃は泣いてるだけだったのに今はこうして・・・
強くなったんだな