READY GO!
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教室に入ると優菜が勢いよく抱きついてきた。
「優菜・・・おは、よう」
「朝練お疲れさま〜」
「私は運動してないよ。幸村くん達は朝からすごかったけど・・・」
しかも私なんて初日から遅刻しちゃったしマネージャー失格だよ
「な〜に言ってるの。マネージャーもテニス部には変わりないよ。ねっ精市!」
「そうだね」
本人達には何気ない一言かもしれないけど私はその言葉がすごく嬉しくて・・・
少しだけ涙腺が緩んでしまった。
「2人ともありがとう」
今にもこぼれ落ちそうな涙が見えないように少しだけ俯いた。
不思議そうな顔をした優菜が私に話し掛けようとしたとき先生が入ってきたのでSHRが始まった。
涙の理由なんて聞かれてもきっとうまく説明できない
自分でもなんだかよくわからないんだから・・・
(なんだろう。心が温かい)
「幸村!竹内の教科書がまだ届いてないんだ。しばらく見せてやってくれよ」
岩田先生はSHRの最後にそう言い残して教室をあとにした。
教科書まだなんだ・・・
1つの教科書を2人で見るなんて見にくいによね?
柳くんは隣のクラスだと教えてもらった。理由を話して借りに行こうかな・・・
そんなことを考えていると
「遠慮はいらないよ。柳はまじめだからその日ある教科しか持ってないしね」
隣からそんな声が聞こえてきた。
「・・・」
朝練のときに会話したのは柳くんくらいで他の人のクラスは知らないし
私はおとなしく幸村くんに見せてもらうことにした。