READY GO!

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「小原くん、いつも付き合ってくれてありがとう」

「いいよこれくらい。容易いご用だよ!」



たわいもない会話をしながら私達は視聴覚室に向かっていた

視聴覚室に着くとまだ誰もいないみたいで・・・



「先に入って待っておこうか?」



小原くんにそう言われて上履きを脱いでスリッパに履き替えた

中に入ると真っ暗で・・・電気を点けようとしたその時



《ガタン!!!》



私は絨毯に押し倒された



「こ、小原くん・・・?」

「カギ締めちゃった」



いくら鈍感な私でもこの状況が危険だということは分かる。この人は本気だ・・・



「俺・・・竹内がテニス部に入ってきたときから好きなんだ」



そう言いながら私の太ももに手をおいた



「っやだ!!!」



気持ち悪い!助けて!

―――幸村くん

幸村くんっ!!!助けて!

精一杯の抵抗を試みてみるものの所詮は女と男

力が違いすぎる・・・

“初めては好きな人がよかった”と一筋の涙を流したときブラウスのボタンが引きちぎられた



そのとき・・・



《バンっっ》



視聴覚室の扉が開いて

すごい表情をした幸村くんが乗り込んできた

(本当に来てくれた・・・)



「幸・・村・・・くん・・」



テニス部部長の登場に驚いた小原くんは視聴覚室から勢いよく飛び出した

幸村くんは彼を追いかけようとしたけど・・・私が引き止めた



「行かないで・・・」



幸村くんは黙って私を抱き締めてくれた



「・・・恐・・かっ・・・た」

「もっと早く来れたらよかったよね。ごめん」



ぶんぶんと頭を左右に振る私



「大丈夫・・・何もなかった・・・の」



私は幸村くんのブレザーをかけてもらって一緒に部室へ向かった

何も会話はなかったけど、繋いだ手は温かくて・・・

さっきの出来事は夢の中のことのように思えた
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