ONE PIECE

□if・・・会社員編
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フロアに響き渡った?という私の大きな安堵の吐息に同僚であるナミが顔を向けた


「お疲れ。それ区切りついたの?」

「なんとか・・・昼休み返上でおなかペコペコだよ」

「課長にも期待されるなんて、さすが!」

「期待に応えられるかどうか・・・」


机に伏せる私が所属する部署に今、残っているのは片手で数えられるほど
ぐるりと方向を変えればデスクにどっしり構える書類を提出すべき相手
(相変わらずステキだなぁ)
いつものように視線の端にひっそりと想い人を映して帰る準備を始めた


「さっ、マキノさんのお店に行くよ!!」

「えっ!?」


予想外に引かれた腕にバランスを崩せばそのまま椅子から滑り落ちた私
イスの倒れる音がやけに大きく響いたフロアに顔を真っ赤にした
(ひぇぇぇ、恥ずかしい!も、もしかしてイゾウ課長に見られた?)


「あっ、ごめん・・・!」

「だ、大丈夫だよ」


ゆっくり身体を起こした私の視線の先になぜかいる課長
あろうことか私の手を引いていて・・・
驚いて声も出ない私のことなんてお構いなく色気を垂れ流す課長


「悪いがコイツを渡すわけにはいかねぇな」

「課・・・長?」

「***〜、明日詳しく聞くわ。ルフィでも誘うか。じゃね」


去っていくナミに何も言えないまま
手は課長に掴まれたまま―――
ようやく絞り出せた声はなんとも頼りのないもの


「あ、あの・・・書類にミス・・・ありましたか?」

「ミス?ククク、それを理由に拘束するのもありか?」

「え、えぇっ!?」

「行くぞ」


いつの間に帰る支度を済ませていたのか・・・
イゾウ課長のデスクは綺麗に整頓されていて、コートも纏っている
(ちょ、ちょっと・・・早すぎない!?)
掴まれていた手は気付けば恋人繋ぎになっていて・・・
うろたえる私を見て笑う課長の顔は今までで一番距離が近くて
心臓の音がうるさいほど私の中で響き渡っていた


「***・・・」

「は、はい・・・」

「今夜は泊まっていくよな?」

「えっ・・・と、・・・はい」



+ END +
******

(イゾウにしては待った方じゃねぇのかよい?)

(そうだよなー。***に話しかける男の追い払い方、あれはひでぇよな。俺なんて仕事で話しかけてんのに刺されるかと思ったぜ)

(エースは同じチームだから仕方ねぇのによい)

(俺、異動願い出してぇ・・・)


2014.11.23


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