保健室のお姉さん
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執事が部屋に持ってきた紙切れには“採用のお知らせ”と書かれていた。
任期は“平成XX年4月1日〜平成XX年3月31日”
っていうか・・・
娘に何も言わず勝手なことを!!
私の転職先が決まってたらどうするつもりだったのよ・・・
(まっ決まってないしいいか)
根が真面目な私は勤務する学校へ下見に行くことにした。
――――――
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――
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「ここが・・・青春学園か、」
学校の校舎に足を踏み入れるなんて何年ぶりだろう?
なんだかとても懐かしい感覚・・・
って感傷に浸ってる場合じゃない
「・・・職員室、どこ?」
春休みのせいか校舎は閑散としていた。
人がいそうな場所を求めて校庭を少し進むと―――
テニスコートを発見した。
コート内には部活をしているであろう学生が数人
(よかった!教えてもらえる)
私は部活中の彼等に声をかけるためにどんどん近付いた。
(テニスか・・・)
大学時代はテニスサークルに所属していた私
とは言ってもみんな趣味程度の域だったけれどね
「入りずらい・・・どうしよう」
テニスコート際まで来たものの
声をかける勇気が出なくて立ち止まってしまった私
でも聞かなきゃ職員室まで絶対に辿り着けない・・・
覚悟を決めて声をかけようとしたその時―――
「何か用か?」
後ろから声をかけられた。
(私と同じくらいの年齢・・・顧問の先生かな?)
「あの、すみませんが職員室の位置を教えてください」
「職員室?それなら・・・」
眼鏡をかけた男性は丁寧に道順を教えてくれた。
「ありがとうございます。私、来週からお世話になりますのでお願いします」
そう言って頭を下げて教えてもらった職員室に向かった。