保健室のお姉さん
□9
2ページ/7ページ
さすが景吾の別荘
景色までもが最上級!!
“合宿所”なんて響きが全く似合わないわ・・・
そういえば―――
景吾に告白されたんだっけ?
昨日はマネージャーが忙しくてゆっくり考える暇がなかったけど
いつまでも可愛らしい弟だと思ってたのに・・・
「男になったんだねー」
「誰が?」
「誰って・・・景吾の話よ。まさか告白されるなんてねー」
(んん?)
私・・・友達に恋バナしてる感覚でつぶやいちゃった?
おそるおそる後ろを振り返ると
「周助・・・君?」
ジャージ姿の彼が視界に映った。
私の隣に腰を下ろして、
「***先生が見えたから追いかけてきちゃった」
向けてくれた笑顔
あぁ・・・
この笑顔が私は好きなんだ
私がもし・・・
10年遅く産まれてたら、
“お友達”くらいにはなれた?
「早起きですね!先生」
「昨日はぐっすり眠ったから目覚めがよかったの」
仕事がハードで疲れすぎてバタンキュー状態だったけどね
選手のみんなの底知れない体力に感服しちゃいます・・・
「***先生は跡部が好きなんですか?」
しゅ、周助君!?
何を言い出すのかと思えば・・・
「跡部君のことは―――もちろん好きよ」
小さい頃から知ってるから私にとっては弟みたいなものだもの
「・・・僕のことは?」
周助君のことは―――
“1人の男として好き”
そう素直に言えたらいいのに・・・
「もちろん好きよ!跡部君も周助君も弟みたいなものだからね」
実際に周助君のお姉さんは私の友達だったりするわけで・・・
「弟―――ですか・・・」
空を見上げてそう言った周助くんはとても儚くて
このまま空に消えちゃうんじゃないかと思わせられた。
「朝練の邪魔しちゃったよね?ごめんね!先に戻ってる」
私はこの場から逃げるように立ち去った。