保健室のお姉さん
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「***先生大丈夫ですか?びっくりしましたよ!」
「今日はムリしないでください」
「ごめんね?ありがとう」
朝からたくさんの人に心配されてしまって―――
すごく申し訳なくて心の中でため息をひとつ
「***って保健室の番人なんじゃねーのかよ?」
「景吾・・・その通りです」
自分が保健医なのに倒れてしまったことを思い出してしまって
さらにため息ひとつ追加
もちろんみんなにはバレないように心の中でね・・・
それから―――
「今日は肝試しだな!」
「ここの裏山って本気で怖いんだよな〜」
肝試しを楽しみにしているみんなの顔を見て
今日一番、大きな大きなため息を心の中でひとつ
私がスタート地点で・・・1人になることはないよね?
それか陽がおちる前にしてくれたら全然問題ないんだけどな
「***先生は肝試しに出ないのですか?」
「幸村君・・・引率者はスタート地点で待機してるよ!何かあったら連絡もらえるように」
そのスタート地点に“出る”らしいんだけど
「フフフ・・・名前覚えてくれたんですね。ありがとうございます」
「人の名前覚えるのは得意だよ」
教師だからというか・・・
昔から両親について社交の場に出てたおかげかな?
***財閥の娘っていうだけで挨拶してくれる人の数が多くて・・・
自然と覚えなくちゃいけなくて身に付いた特技
ありがたいんだかあんまりありがたくないんだか・・・