Prince of Tennis

□if・・・会社員編
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「***さん」
「***さ〜ん!」
「***さぁ〜ん!!」


朝から私の名前を無駄に連呼するのは彼しかいない
オフィスの中ならまだしも
(それもすごく嫌だけど・・・)


「こんな公共の場で名前、連呼しないでくれる?」

「***さんに会えたことが嬉しくて仕方ないんスよ」

「あのねぇ・・・」


今日は朝から幸せだぁ〜なんて笑顔の後輩に何も言葉が出なくて改札にパスケースをかざした
ピピピという機械音と鼻歌交じりの後輩を背にため息1つ
彼は私に好意を持っているらしい
恋愛に疎い私が分かるほどのアプローチに気付かないわけにもいかない
でもね―――
その気持ちは新人である自分より仕事のできる先輩に持つ憧れ
恋愛感情の“好き”とは違う


「お昼ご一緒できますか?」

「ごめん、先約あり」

「残念・・・」


ホントは先約なんてないんだ・・・
“ごめんね”と心の中で懺悔しながらも彼の姿に笑いが零れた
(犬耳と尻尾が私には見えるよ)

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