貴方が望むその先に
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互いの両親の前で婚約を交わしたばかりの私達
同居を初めて数ヶ月―――
今度の休みは結婚式場を探すためブライダルフェアへ・・・
先のことを考えれば考えるほど不安が胸に渦巻いて
このなんとも言えない気持ちがマリッジブルー?
それならそこまで彼のことで不安になる必要はない?
シャワーの音が聞こえる浴室を黙って見つめていた
――――――
――――
――
―
「ムリ―――してない?」
「あぁ、今頑張っておかないと」
「体、壊しちゃうよ・・・」
「多少のムリは承知。新婚旅行に仕事は持ち込みたくないだろ?だから、そんな顔するなって」
私を優しく抱き締めた彼の鼓動を感じながら胸の中でそっと瞳を閉じた
だから・・・だから、私の髪を何度もそっと撫でる彼の悲しみの瞳に気付くことはできなかった
もしこの時―――
私が彼を見ていたら何かが カワッテイタ ?
あの時間に戻りたい・・・
心底何度、願ったことか
それでも無情に時は流れゆく
そこには最初からまるで何もなかったかのように・・・