貴方が望むその先に
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「そう・・・ですか」
「悪いな。力になれなくて」
「いいえ、とんでもないです!いつも美味しいコーヒーありがとうございます」
喫茶店のオーナーさんといつもの会話をして席を立った
ここのオーナーさんは私の婚約者がいなくなったことを知っている
毎日、毎日帰ってこないあの人を待ち続ける私はもう壊れてしまいそうで
私なんて ドウナッテモイイ そう思っていた私に声をかけてくれたのが彼
「ほら、温かいコーヒーいれてやるから飲んでけよ」
なんだかあの日は久々に人の優しさに触れた気がした
定休日だったお店にわざわざ招き入れてくれて、私が落ち着くまでずっと隣にいてくれて・・・
口は悪いけど優しさを感じずにはいられなかった
そして―――気付けば話し始めていた
突然の婚約者の失踪・・・
会社に電話すれば彼は失踪の1週間前に退職していたという
彼のご両親に会いに行けば両親さえも何も知らない様子で・・・ひたすら謝罪の言葉を並べられた
もう自分がどうしたいのかさえもわからない私に・・・
「お前は今でも婚約者に―――会いたいのか?」