貴方が望むその先に

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「お・・・おっきい・・・お、お城?」


タクシーから降りて目の前に広がるお城のような校舎を見て思わず感嘆の声が漏れた
さすがお金持ちの私立・・・
ひょんな事でそこの生徒さんと知り合いになって、その生徒はなんと理事長の娘さんで、何故かここに連れて来られて・・・
(あれれ?)
優姫ちゃんってばどうして私をここに連れてきたの?


「葉月さん、早く!!」

「えっ・・・」

「理事長室はあっちです」

「あ、うん」


わけもわからないまま理事長室とやらに連れて来られて・・・
目の前には眼鏡をかけた人
(この人が理事長さん?)
理事長っていうから年配の人を想像してたけど・・・黒主学園の理事長は私が想像する理事長像とはかなりかけ離れていた
隣を ちらり と確認すれば少し、いやかなり機嫌の悪そうな零君
それから反対側には優姫ちゃん
そして私の右手はなぜか優姫ちゃんと繋がっていた
小さな女の子の手はとても心地よくて、ずっとこうしていたい・・・そんなことを考えていた
気付けば―――


「葉月さんよかったね。これで就職活動も終わりだよ」

「えっ・・・どういう、こと?」


理事長さんと楽しそうに飛び跳ねる優姫ちゃんに私の声が届くことはなかった

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