貴方が望むその先に

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「葉月ちゃん・・・また触ってる」

「えっ、な、何をですか?」

「あらら無意識だったの?そのネックレスよく握ってるからなにかの願懸けかと思ってた」

「これは・・・」


あの時から片時も手放すことなく胸に刻みこむようにかけたネックレス
触れれば奏太の笑顔を思い出すことができる―――
優しく全てを包み込む笑顔


「・・・コレに触れるとすごく落ち着くみたいです」

「そっかー」


いつもの千帆さんと違ってこの話を続けることはなかった
(ありがとうございます)
この学園は優しい人ばかりだ・・・



――――――
――――
――



「葉月ちゃん、今日はもう終わりだよ」

「えっあとちょっとなのに・・・」

「この学園は残業ダメなの」


残業ができないなんて・・・ちょっと嬉しいかもしれない
アフター5は約束されてるのね
(仕事さえ溜まらなければ・・・)


「夜間部ができて教師を装って侵入者が出たらしいの」

「すごい人気者なんですね」

「まぁあれだけ男前揃いだと仕方ない気もするけど・・・」


遠くからしか見たことはないけど容姿端麗な人達ばかりなのは普通科の態度で想像がつく
そこにプラスして財界の子息令嬢ときたものだ
騒がれないわけがない・・・
(でもどうして昼夜逆転生活なのかしら?)


「私、鍵返してきますね」

「ありがとう!お先に」

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