貴方が望むその先に

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「葉月さーん!!!」

「え、えっ!?どうしたの?」


事務室に駆け込んできた優姫ちゃんは私の顔を見るなり泣きながら勢いよく抱きついてきた
宥めようと頭を撫でれば
足元に ひらり と落ちた1枚の紙
拾い上げれば―――


「ゆ、ゆ・・・優姫ちゃん?コレはあの、えーっと、」

「見られちゃいましたね。あの・・・お願いがあります!!私の・・・家庭教師をしてください!」

「か、家庭教師??」


私の前で頭を上下に動かして必死にお願いする優姫ちゃんとテストの答案用紙を交互に見ながら思わず引きつった笑みを浮かべるしかなかった
(テスト中・・・寝たのかな?)
優姫ちゃんは普通科の暴走を止める役割を担う風紀委員らしく、夜遅くまでのその業務のせいでどの授業も先生の声が子守歌に聞こえるらしい・・・
(それって風紀委員の―――せい?)
少し気になる部分はあるにせよ優姫ちゃんへの恩返し第一歩!!
夕飯後に理事長室で来週の実力テストのお勉強会を開催することになった


「零君にお願い・・・イイエ何も」


“零君にお願いしないの?”という私の疑問は彼女の表情は最後まで発することはできなかった
(優姫ちゃん・・・顔が怖い)

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