貴方が望むその先に
□Last
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駆け出した私の腕を―――
しっかり掴まえて離さない彼
そういえば私
さっき吸血鬼にしてくださいってお願いしたんだっけ?
吸血鬼に・・・してくれるのかな?
「さっきの彼とは?」
「祖母と面識があるみたいです。詳しく教えてもらえませんでしたが」
「葉月はムチャばかり・・・って奏太さんが愚痴ってた」
「えっ?」
そんなに無鉄砲な人間?
というか枢さんは・・・
「枢さんは・・・奏太のことを」
「そうだね、彼を吸血鬼にしたのはこの僕―――」
やっぱりその言葉はショックで手が震えていることがわかった
そんな震える私の手に大きな手が重なって枢さんを見上げれば ぎゅっ と抱き締められた
「葉月・・・奏太さんに頼まれてたこと、伝えていい?」
「えっ?」
驚いて顔を上げれば少し寂しそうな顔をした枢さん
そんな彼に私は大きく頷いた
すると、枢さんは私の目の前で自身の指に牙を向けた
驚いてうろたえる私に今度は優しく微笑みかけて―――
「ケガはすぐに治るから。それよりあっちを見て?」
指差された方向に視線を向けると枢さんの血によって作り出されたであろうコウモリの姿