貴方が望むその先に

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「葉月さ〜ん、今週の放課後だといつ都合がいいですか?」

「いつでも、いいよ」


優姫ちゃんのテストがあるときはお決まりの会話
来週は英語の小テストらしい
(私・・・英語あまり得意じゃないんだけどな)


「あっ、やっぱ放課後じゃないほうがいいですよね?」

「どうして?あっ風紀委員のお仕事が忙しいの?」


普通科と夜間部の入れ替え時間になると暴走する女子生徒達の警備をも担う彼女達
その仕事のせいで睡眠時間も随分と削られているようで
(勉強時間が少ないのかな?)


「枢先輩・・・」

「えっ?」


呟かれた声に思わず反応すれば


「夜に葉月さんのこと拘束なんてしたら・・・」

「拘束って」

「枢先輩の視線だけで・・・考えただけで恐ろしすぎます」


目の前には顔を真っ青にして言葉を続ける優姫ちゃん
その姿に思わず胸が痛くなる


「あの、優姫ちゃん」

「私の枢先輩に対する気持ち・・・もちろん嘘じゃなかったです!!それでも・・・葉月さん、お似合いだなって」


へへへと笑う優姫ちゃん・・・貴女の方が枢さんにお似合いだよ
私なんか―――


「葉月さん、枢先輩にちゃんと気持ち伝えてくださいね?」

「優姫ちゃん・・・」


家庭教師は明日のお昼休みにお願いしますと言って走り去った彼女の強さ
(すごいなぁ・・・)
弱い私は枢さんを避けたまま



********

(枢・・・葉月さんには会ってないの?)

(避けられてるからね。今日はまだ動かないよ)

(今日は?)

(明日は・・・どうかな?)


2013.8.17

 

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