貴方が望むその先に

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なぜだか同じ空間にいる彼を横目で ちらり と盗み見ればあまり機嫌はよくなさそうで
触らぬ神に祟りなし―――
この言葉を胸に そろり と部屋から出て行こうとすれば・・・


「葉月、どこに行くの?」

「の、飲み物を買いに行こうかと思って!枢は何かいる?」


枢の刺さるような視線に思わず顔を背けたくなった
(すっごく怒ってる・・・)
私の机でペンを走らせていた枢が立ち上がって私と視線を合わせればまっすぐにこっちに向かって歩いてきて
私はその場から動けなかった
目の前に来た枢から手が伸びて条件反射で ギュッ と目を瞑れば


「髪の毛にゴミが・・・」

「えっ、」


そう言って私の髪にそっと触れた
目を開けると息も感じられるほどの距離に枢の整った顔・・・
思わず視線を外そうとすれば


「葉月、目を逸らさないでちゃんと僕を見て?」


枢の言葉に私は頬を赤らめた
そして枢の手が私の頬に触れて
そのまま2人の唇は
静かに重なった―――

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