ONE PIECE
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タオルからその手が離れれば
少年が立ち上がろうとしていることが伺える
(やっ、やだっ!!!)
思わず少年の服の裾を掴んでいた
「・・・行かな・・・いで?」
私がこの手を離せば少年は元の世界に戻ってしまうかもしれない
私の前からいなくなってしまう
そう考えると怖くなって涙で視界が滲んでいた
「俺はここに・・・いる」
立ち上がった少年はもう一度私のそばにやってきた
ベッドで横になる私と同じ視線になって・・・とても優しい微笑み
「っ!!!」
「安心して眠ればいい」
高熱の・・・
これは高熱の―――せいだよね?
心臓がこんなにも早いのは少年のことを意識してるからなんかじゃ、ない
私・・・彼と別れて欲求不満なの?
もうだめだ・・・
「ローくん・・・傍に、いて?」
思考回路が壊れてるのかも
私は身体の不調には勝てずそっと瞳を閉じた
――――――
――――
――
―
「チッ」
俺が今、10歳の姿でよかったな
本当の年齢だったら―――
体調の悪い彼女をめちゃくちゃにしていたかもしれない
「・・・俺らしくねェか。欲しい物は奪うのが海賊だろ?なぁ、ペンギン」
元の世界に戻る方法―――
最初に漠然と探し始めたこと
気付けば違う方法を探し始めていた
世界を渡る方法―――
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(ちょっと・・・何これ)
(ご飯作るのに使っただけだ)
(キッチンって・・・こんなに汚くできるんだね)
(うるせー、早く治してお前が飯作れ)