ONE PIECE
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この世界で海賊はお尋ね者らしい・・・というのは手配書で理解している
だから上陸するといっても表の港ではなくこうして裏の港
私は林の中をひたすら歩いていた
「これから、どうしよう・・・」
無計画に船を降りてしまった
この世界を知らない私がこれからどうすればいいのか・・・
そんなことわかるはずもなくて
木のざわめきに思わず上を仰げばそこに空は見えなくて
生い茂った緑の重なり
この世界にたった1人―――
波のように押し寄せる孤独感
手を伸ばしても誰もいない
「や、やだっ・・・た、助けて」
座り込りこんでしまった私
伸ばしたこの手に
重ねられた温かい手
その温もりに感じる優しさ・・・
「船から降りるには船長の許可がいるに決まってんだろ」
「ロー、くん・・・?」
「お前ェの考えくらいお見通しだっての。このバカ女」
ローくんは私から零れ落ちる涙を手で拭ってそのまま私のことを強く、とても強く抱き締めた
「・・・心配させんなよ、***」
「ロー、くん?」
「元の世界になんて戻さねェよ」
木のざわめきと共に私の頬を赤く染める言葉が聞こえた・・・
“***、愛してる―――”
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(え、ペンギンさん・・・船に乗るの反対じゃないのですか?)
(この1年は・・・酷かった。何度殺されると思ったか、)
(殺される?)
(貴女がいなかったので・・・)
2013.8.28