ONE PIECE

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誰もいない静かな夜
海の色は黒くて何も見えない
甲板に腰を降ろしてだらりと足を伸ばして瞳をつむれば
思い浮かべるのは昔の私―――
今、こっちの世界にいることに後悔はない
それでも自分が過して来たあの世界がなかったことにはできなくて
こうしてたまに想いを馳せる
そして、

《ポチャン》

また海に1つ投げ捨てた
前の世界から持ってきた・・・というか身につけてきた数少ない物
この広い静かな海に1つずつ投げ捨てている私
潔く一度に捨てればいいのに・・・
何度そう思ったかわからない
いつか向こうの世界の物が手元になくなるその日
私の記憶も消えてしまうのかな?
小さい頃からのことを思い起こせばそれは少し寂しいこと


「***・・・」

「あ、ロー・・・起きてたの?」

「目が覚めた」


足音なく近付いた彼は私を後ろから力強く抱き締めた
甲板で冷え切った私の身体は少し温もりを取り戻した



********

(***のいた世界・・・俺も絶対に忘れねェ)

(・・・ロー)

(このこと一生、お前と背負うから・・・安心しろ)

(うん。ありがとう)


2013.12.7

 

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