短編
□参
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目が覚めた。ぼんやりと目にうつるのは茶色の見慣れない天井
「…あれっ…俺…」
布団から身体を起こせば部屋は見たこともない部屋。周りはあまりにも殺風景で人が一人か二人くらいしか寝れない程の狭さだ
「此処って…あいつの」
俺はすぐさまに寝起きの身体に鞭打って無理矢理にも立ち上がろうとした。しかし、俺の意志とは裏腹に身体は思い通りに動かずその場に崩れ落ちた
「…ちっ…なんなんだよ…ちくしょう」
高杉は何度も立ち上がろうとするも呆気なく崩れ落ちてしまうそんな事が数回行われそのやるせなさに舌打ちをした
「おー…起きたか晋ちゃん」
その時部屋に入ってきたのはあの銀髪の男だった
「ち…近寄んじゃねぇ!!」
「…まぁそんなに警戒するなって…ほら飯持ってきてやったから食えよ」
そういって目の前にだされたのはお茶とタッパーに入ったいくつかのおにぎりだった
「…」
(毒でも入ってんじゃねぇか?)
「言っとくけど毒は入ってねーよ!!俺だって食ったんだし」
と言う銀髪にコイツ人の心でも読めんのかと高杉は顔をしかめるも高杉が恐る恐るおにぎりに手を伸ばした
そして一口おにぎりをかじっただけなのにかなりの空腹だったのだろう高杉はそのあと無我夢中でおにぎりを7つもたいらげてしまった
「おー…すんげー食ったな?お前抱き抱えたらめっちゃ軽くて心配したけどこの様子なら問題ねぇな」
ニコニコと笑う銀時に高杉は少し距離をおいてはまた警戒をした
「だから警戒するなよ?俺はお前の味方だ」
「……」
味方?…本当だろうか?
俺が此処に連れて来られる前は俺は何故か病室にいた。それにわけもわからない黒い服を着た奴らに囲まれて怖くなった俺は必死になって抵抗して……気づいたら此処にいて…結局あの黒服の奴らはなんだったんだ
それにコイツだって誰だかわからねぇ
味方とか言ってあいつらとグルかもしれねえ…油断させて俺を殺すつもりなか
「晋ちゃん?」
「触るなっ!?」
触れようとした銀時の手を払いのけようとした高杉その瞬間高杉の爪が銀時の皮膚を引っ掻いてしまい血が流れた
「…」
「…!?」
少量ながらも銀時を傷つけてしまった高杉。手から血が出る銀時を睨みながらも高杉は怖くて身を縮こませた
その時銀時の手がまた高杉に近づいてきた高杉はまた払いのけようとした瞬間二度も同じ手にひっかかるわけもなく銀時は片手で高杉の払いのけようとした手を掴めば片手で高杉を引き寄せた
銀時の力に勝てずに呆気なく銀時の方に引っ張られる高杉。抵抗する暇もなく銀時の手が高杉の方へと伸びて来る。殴られると高杉は目を閉じた時だった
「猫見てぇな奴…」
痛みではなく感じたのは優しい温もりだった
目を開ければ銀時が微笑みながら高杉の頭を撫でていた。
「…そんなにびくびくするなよ…」
そう言って頭を撫でる銀時に高杉は自然と頷き心地良さに目を閉じるのだった
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