短編

□伍
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あいつらが来たって事はすぐに分かった
あの声と気配、あの襖の向こうにはあの時のようにたくさんの黒い集団がいるんだろう

見えなくたってわかる…だから…あの銀髪が足止めをしている時に窓から逃げた

幸いにも下にはあいつらがいなかったので意外にスムーズに逃げれた。

そして

もっと…もっと遠くに


もっと…もっと速く


俺は走り続けた。途中行き交う人にぶつかりながら…

その時だった、あの銀髪の声が聞こえた。俺を心配して追い掛けてきたのだろうか。だけど俺は何故か反射的に建物の横に隠れてしまった

物陰から覗けば銀髪が必死になって俺の名を呼んでいた

どうしてあいつはそこまでして俺に構うんだ

もしかしてあいつもあの黒い集団の仲間じゃ…

ま、まさかな…

でも、…そうだったら俺は……

「晋ちゃん!?」

ヤバイッ…見つかる

高杉の気配に気づいたのか銀時は高杉のいる建物の横へと近づいてきた、高杉は慌てて奥へと無我夢中で逃げる

後ろから追いかけてくる足音が聞こえる。高杉は息を切らしながらその足をとめる事はなかった

まだあいつが仲間だと確信したわけではない…ただ怖くて…そして銀時を振り切ろうと建物を曲がった。

その時

得体のしれない白い物体が俺の口を塞いだ。なんとかして逃れようと抵抗をしたがその白い物体は異様に大きくて俺は口を塞がれてその息苦しさに意識を手放したのだった。










「晋ちゃ…あれっ?いない」

確かに此処を曲がったのは高杉のはずだった。だから俺は追い掛けて…

だけど俺の目にうつるのはゴミや雑草が生えている汚らしい路地裏だった

銀時はその光景にため息をつけば路地裏を後にするのだった




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