短編

□捌
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高杉が来てから一ヶ月ちょい経った。最初、高杉は戸惑いながらも銀時達と住んでいたが今ではだいぶ慣れたようだ

「晋ちゃ〜ん洗濯物乾いたから片付けといて」

「あぁ…」

「高杉さん夕飯は何が食べたいですか?」

「…親子丼」

と言う感じに銀時も新八も最初は気を使っていたが、今は高杉を中心に万事屋が廻っているという感じだ

しかし、一人だけその生活に不満をもつ人がいた。それは神楽だった。

「……」

神楽は不満げに定春の上に乗りながら三人のやり取りを見ていた。

(どうして高杉がそんなに愛されるアルか…銀ちゃんも新八もおかしいアル…高杉は敵なのに…)

あの時、高杉と打ち明けたはずだった神楽。しかし、神楽の想いは銀時や新八に構ってもらえないやきもちにも似た感情


「神楽ちゃんは何が食べた…あれっ?神楽ちゃん」

新八が不意に神楽に話し掛けては目線を向けるもそこに神楽の姿はなかった

その頃、神楽は三人のやり取りを見るのも飽きたのか神楽は銀時達に何も言わず一人万事屋から出ては歌舞伎町を歩いていた

「銀ちゃん達なんか知らないネ…高杉高杉って…私も構うアル」

神楽の口からこぼれるのは高杉や銀時達にたいしての不満や嫉妬等の数々

「チャイナ娘がこんなとこでなにしてんですかぃ?」

不意にかけられた声に顔を上げれば目の前には沖田の姿

「…サド」


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「…そうですかぃそんな事があったんですねぃ」

「そうアル…」

神楽は沖田に今まであったことを全て話した

「チャイナそれは旦那達に対するやきもちでさぁ」

「やきもちアルか…そうかも知れないアル」

「…でも旦那はチャイナを構わないって事はないと思いますぜぃ?今は高杉の事で大変なだけでさぁ」

「…そうアルカ?」

「そうでさぁ…一段落したらまたチャイナにも構ってくれるでさぁ」

「うん!わかったアル!サドもたまには良いこと言うネ」

「たまにはは余計でさぁ…なら帰るでぃ」

沖田の言葉に元気のでた神楽は笑みを浮かべ立ち上がった

そして万事屋へと帰ろうとした時だった


「そこのお嬢ちゃん達ちょっといいかな?」

二人の目の前にいるのはいかにも柄の悪い天人が5人

「…お前ら誰でさぁ」

「…サドっ!?」

神楽の言葉に振り返ればどこから現れたのだろうか何十人という天人が二人の周りを囲む

「俺らになんの用ですかぃ?」

沖田は辺りに警戒しながらそう天人らに問い掛けた

「用があるのはそのチャイナの娘だけだ」

声を発したのはリーダーとも思える天人だった

「そのチャイナ娘を大人しく渡してくれるのなら私らもありがたい」

「嫌だと言ったら?」

「貴様を殺してまで奪うつもりだ」

その天人は薄気味悪い笑みを浮かべては沖田を見た。その笑みに身震いを覚える神楽は沖田に小さな声で言った

「サド…どうするアルか」
「チャイナ…」

「なにアル…」

「俺があの天人らを斬るだからそこから逃げてくだせぃ」

「でもっ…したらサドは」
「俺は大丈夫でさぁ…それじゃぁ行くでぃ」

沖田はそれだけを言えば刀を抜き目の前の雑魚天人を斬り捨てた。その後ろから躊躇いながらも神楽は逃げる

それを始めとし次々と雑魚天人が沖田に襲い掛かる

しかし、リーダーは二人の行動を鼻で笑えば神楽の後を追った

「サドォォォォ!!!!」

神楽は無我夢中で天人らから逃げるも不意に後ろから来ない沖田に振り返った

神楽の目には何十人もの雑魚天人にめった打ちにされる沖田の姿

「サド!!いま助け…」

「来るんじゃねぇぇ!!!…来たら…駄目でさぁ」

血だらけの沖田は最後の力を振り絞り雑魚天人を斬り捨てる

「でもっ…」

「本当に泣けるねぇ…お嬢ちゃん?」

神楽の声を遮ったのはあの聞きたくもないあの声
神楽は恐る恐る後ろを振り向いた

バンッ

乾いた銃声が響き神楽の身体が地に倒れた
それをすかさずその天人が抱え上げる


「チャ…チャイナァァァァァ!!!!」

それを見ていた沖田が目の色をを変えてその天人に襲い掛かる

しかし、弱った沖田の攻撃は易々とかわされその天人は攻撃してくる沖田に一撃を食らわした

その攻撃が堪えたのか沖田はその場に倒れる

「残念だったな餓鬼…それとこの手紙を万事屋に届けてくれ」

と一枚の手紙を気を失いかけた沖田の胸ポケットにいれれば天人らは神楽を抱え夕暮れのなか帰っていくのだった







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