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□全て計画通り
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「すみません、少し休憩させてもらえませんか?」
ヴァンの足取りを追う一行を止めたのは少し顔色が悪いイオンだった。
導師の申し出を断る者はおらず、日も傾いてきた事もあってその場で野宿となった。
テントを張り、食事が済むとルークは一行の輪を離れた。特に理由はないが、一人になりたかった。
しばらく夜空を見上げると後ろから声をかけられ、ふわりと肩に毛布をかけられる。
「風邪を引きますよ」
「イオン…」
「隣、座りますね」
同じように毛布にくるまり、ピッタリくっついて腰掛けられてルークの心臓は大きく跳ね上がった。
「ちっ近すぎない、か?」
「このほうが暖かいでしょう?」
いつもの優しげな笑顔を向けられてルークは慌てて顔をそらした。
密着した所からイオンの体温が伝わってくる。確かに寒くはないがルークは気温や伝わる体温とはまた違うもので熱が上がっていた。
「…もしかしてこういうことされるのは嫌でしたか?」
イオンが不安げに問う。
「なんでだよ?」
「さっきからずっとうつむいているので…不快にさせてしまいましたか?」
「そっそんなことヌェーよ!!ちょっと緊張して!じゃなくて、その、だから…」
「不快ではないんですね?」
「うん!!」
「それなら、よかった」
まるで大輪の花が咲いたようなイオンの笑みを見て、顔がどんどん熱くなるのが分かった。
「ルーク?顔真っ赤ですよ?」
「えっ、や…なんでもないから」
「ちょっと熱があるのでは?」
前髪が上げられ、額に何か当たった。目の前には深い緑の瞳。イオンは自分とルークの額を当てたのだ。
数秒かけてそれを理解したルークはいきなり立ち上がってテントへ走り出した。
「俺もう寝るからぁあああああああ!!」
イオンは呆然としながらルークを見送って、クスクス笑った。
「ふふ、意外に早く僕を意識しているみたいですね。明日からはもう少し積極的にいきましょう。愛してますよ、ルーク」
服や毛布に付いた草を払い落としてテントに戻る。
アニスに「なんかいいことありましたぁ?」と言われるくらい上機嫌だった。

次の日、可愛い顔でルークを口説くイオンが何度も目撃された。


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