2

□はじめての
3ページ/5ページ


いつの間にか戦闘する雰囲気になり、シンクは慌てて状況を把握しようと頭を回転させた。
まずルークとは戦えない。チラ見しただけで心臓が暴れてうるさいのだ、集中できそうにない。ならば比較的近い位置にいたガイやナタリアを相手にしよう。
シンクが地を蹴ると同時に相手は武器を構えた。技押しでガイを後退させ、ナタリアを広範囲の体術に巻き込ませようと素早く作戦を立てる。
が、あろうことかルークがこっちに突っ込んできた。
「てぇーい!」
振り下ろされる剣を鉄板入りの靴底で受け止める。
(ちょ、なんでこっちに来る訳!?ラルゴと戦いなよラルゴと!!あとてぇーいって何?可愛すぎるよ!!つーか近い近い近い!!!)
再び混乱しそうになってシンクはバックステップでルークから離れた。しかしシンクの心情なんかこれっぽっちも知らないルークは一気に距離を縮める。さらに後退してもしつこいくらい追いかけてきた。
(こうなったらヤケだ!意識しなきゃいいんだ、そうだそうすればいいんだ!)
改めて視線を前に向けるとルークと目が合った。自分と似たような色の瞳が、強気な意志を持って睨んでくる。

−あの目を、屈辱に染めてみたい

プツンと何か切れた気がした。
向かってくる剣を小さい動作で避け、ルークの腕を掴んで勢いを殺さず腹をすくい上げれば空中で一回転して背中から地に落ちた。
仰向けに倒れたルークに馬乗りして両手を押さえるのは余裕だった。
「くっ…」
「ルーク!!」
ヴァンの妹が叫んでいるが知ったこっちゃない。
シンクは仮面を外し、ルークの顎を掴むと唇を重ねた。
「…は?」
気の抜けた声はラルゴだろうか。どうでもいいけど。
驚いているのか、動かないルークの口に舌を入れた。それに気付いたルークが暴れ出したが片手のみの抵抗はかわいいもので、ついでに足を撫でると面白いくらいビクッと震えた。しばらく堪能して唇を離した。真っ赤になったルークにもう一度キスしたい欲望が高まる。


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ