いままでの拍手

□千年のソナタ
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千年のソナタ 序章

NDXXXX年。
惑星オールドラントから生き物の姿が消えた。
崩れた街や建物が点在するそれは、もはや死を直前にした星そのものだった。
そんな世界の中で動き続けるモノがあった。かつてとある宗教の聖地として多くの巡礼者が集まった島だ。
彼は今日も部屋からギターを持ち出し、町を出て、小高い丘にある墓の前で立ち止まった。
一体いつ建てられた墓なのか、彼にも分からない。雨風にさらされて文字はほとんどかすれて読めなくなっている。墓自体がすでにボロボロなのだ。

「マスター、今日も来たよ」

何の感情が込められていない声で彼は言うとその場に胡坐をかき、ギターを奏ではじめた。
音楽に合わせて口ずさむ。マスターから教えられた歌だ。子守唄にも鎮魂歌にも聞こえるその歌は、何もいない丘にひっそりと流れる。
歌い終わった彼は立ち上がった。

「また明日な」

一礼すると彼は町に戻っていく。
どうして歌うのか、マスターの名はなんだったのか、彼は思い出せない。ただそうしなければという思いがあるから毎日、何百年も丘に通い続けた。
明日もまた、彼はこの丘を訪れるだろう。


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