★過去作品★

□君しか…
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「…綺麗」


懐かしの並盛町。


その地元にある並盛中の一番大きな桜の木の下で佇むのは、ここに十年前風紀委員長として君臨していた雲雀恭弥だ。


夜遅くに訪れていたので生徒も先生らしき人も見当たることはない。

…いたら風紀が乱れている罰で噛み殺そうと構えていたのに…



そんなことよりも、目移りのできないほど大きく可憐に咲き誇る夜桜が、さっきから手に持っている丁寧に封に閉じられている手紙を催促しているように感じる。



それはただ、自分が開きたくて仕方ないからなのだろうか?




まあ、どうでもいい。



雲雀は桜の木の幹に背中を預け、静かに手紙を開いた。




ただ、細くて今にも消えてしまいそうな、でも小さくて彼らしい字で[あの人へ]と書かれた手紙だった。






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