★過去作品★
□貴方と見た流れ星
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「な、なんで何も言わないんですか…?」
「何を言ってほしかったの?」
「い、いや…」
綱吉は苦笑いで一つの星を見つめた。
その星は離れたところに一つ、とても大きくキラキラして綺麗で、まるで隣にいる人を表しているようだった。
「見てください。あれ、雲雀さんみたいです」
「…僕はまだ死んでないよ?」
「いえ、そうじゃなくて…なんか、雲雀さんの存在の大きさが表れてるっていうか、綺麗で魅力的な星だなって、…」
「フーン…じゃあ、綱吉はあの沢山の星に囲まれた大きく輝いた星かな」
「えっ…」
「周りには小さい星が散らばってるけど、その中心には一際大きな光がある。それが君、といったところかな」
「ど、どういうことですか?」
「だからその光には沢山のものを寄せ付ける魅力があるんだよ。それが君みたいだって話」
「あ、…」
雲雀の言葉に頬をほんのり赤に染める。
なかなかこんな台詞を言ってくれるような人ではないので、綱吉はすごく胸が熱くなった。
「綱吉…?」
雲雀が隣で綱吉の顔を覗き込んでくる。
恥ずかしくて、雲雀の顔が見れない。
「ねえ、綱吉…」
その綱吉の気持ちに気づいたのか、雲雀は耳元で優しく囁いた。
「ずっとそばにいてよ…?」
(そんなの…)
確認しなくとも、雲雀のそばから離れるはずはないのに…
綱吉は黙ってうなずいた。
「綱吉、見て」
雲雀が空に向けて指を指す。
それに綱吉も視線を上げた。
その時…
「愛してる」
雲雀の唇が突然綱吉の唇と重なった。
軽く甘いキス。
唇が離れて雲雀が再度空を見上げる。
綱吉も同じ空を見上げた。
「あっ!」
その瞬間、大きな流れ星が二人の上をゆっくり流れた。
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