★過去作品★

□貴方と見た流れ星
3ページ/4ページ

「な、なんで何も言わないんですか…?」

「何を言ってほしかったの?」


「い、いや…」


綱吉は苦笑いで一つの星を見つめた。


その星は離れたところに一つ、とても大きくキラキラして綺麗で、まるで隣にいる人を表しているようだった。



「見てください。あれ、雲雀さんみたいです」



「…僕はまだ死んでないよ?」



「いえ、そうじゃなくて…なんか、雲雀さんの存在の大きさが表れてるっていうか、綺麗で魅力的な星だなって、…」



「フーン…じゃあ、綱吉はあの沢山の星に囲まれた大きく輝いた星かな」


「えっ…」


「周りには小さい星が散らばってるけど、その中心には一際大きな光がある。それが君、といったところかな」



「ど、どういうことですか?」



「だからその光には沢山のものを寄せ付ける魅力があるんだよ。それが君みたいだって話」


「あ、…」



雲雀の言葉に頬をほんのり赤に染める。

なかなかこんな台詞を言ってくれるような人ではないので、綱吉はすごく胸が熱くなった。


「綱吉…?」


雲雀が隣で綱吉の顔を覗き込んでくる。


恥ずかしくて、雲雀の顔が見れない。


「ねえ、綱吉…」


その綱吉の気持ちに気づいたのか、雲雀は耳元で優しく囁いた。



「ずっとそばにいてよ…?」



(そんなの…)



確認しなくとも、雲雀のそばから離れるはずはないのに…


綱吉は黙ってうなずいた。



「綱吉、見て」


雲雀が空に向けて指を指す。


それに綱吉も視線を上げた。



その時…



「愛してる」



雲雀の唇が突然綱吉の唇と重なった。



軽く甘いキス。



唇が離れて雲雀が再度空を見上げる。
綱吉も同じ空を見上げた。



「あっ!」



その瞬間、大きな流れ星が二人の上をゆっくり流れた。






次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ